MY BOOKS

自著を語る

研究グループのメンバーが、自らの著書について語るコーナーです。執筆の動機・研究の特色・読者へのメッセージをお伝えします。

竹簡学─中国古代思想の探究─

  • 2014年5月
  • 湯浅邦弘
  • 大阪大学出版会

*日本語で読める初めての本格的な竹簡研究入門書。郭店楚簡・上博楚簡・清華大学竹簡などの主要な出土文献を取り上げ、その発見から整理・解読に至るプロセスを丁寧に解説する。

 今から約100年前、中国甘肅省の敦煌莫高窟で大量の古写本が発見されました。スタイン、ペリオなどの調査、収集により、世界的な敦煌ブームが起こり、これらの古写本を使った研究は、やがて「敦煌学」という新たな研究分野を切り開きました。
 現在、次々に公開されている竹簡資料もそれに匹敵するような衝撃を学界に与えています。ただ竹簡そのものは、漢代に、書写材料として紙にその座を奪われて以来、その存在自体が分からなくなっていました。日本の学界でも竹簡に対する認知度はまだ低い状態です。そこでこの書では、「敦煌学」に続く新たな研究分野として「竹簡学」の必要性を訴えたいと思いました。「竹簡学」というタイトルには、こうした気概を込めています。

湯浅 邦弘

関連著作

  • 『諸子百家とは何か』(PHP新書、2009年)

  • 「新出土文献研究の現状と課題」(学術論文)

戦国秦漢簡牘の思想史的研究

  • 2015年12月
  • 中村未来
  • 大阪大学出版会

中国古代(おもに戦国期~漢代初期)の新出土文献を検討により、古代思想史の空白を埋め、その変遷過程を明らかにする。

 本書では、従来、取り上げられることのなかった中国の戦国時代から漢代にかけての新出土竹簡資料を対象として研究を行いました。その結果、第一に戦国期の楚地(中国南方の地)と強く関連する文献である「上博楚簡」「清華簡」を考察することにより、楚が古代の聖賢故事や経書等、中原(古代中国における黄河中流域の中心地)の思想を積極的に受容すると同時に、それとは異なる独自の歴史観や上帝・鬼神観、呼称明記の表現方法をも合わせ持ち、両者を融合させながら活用していた状況が明らかになりました。また第二に、出土地(山東省臨沂県銀雀山漢墓)が明確な「銀雀山漢簡」を考察したことで、これらの文献が特定の学派に偏ることのない、極めて実用的視点を重視した内容であったこと、『孫子兵法』『孫臏兵法』等の兵書に加え、睡虎地秦簡『為吏之道』や岳麓秦簡『為吏治官及黔首』等のように、役人のための教材と考えられる秦簡と関連する政治思想を有していたことが明らかとなりました。

中村 未来

関連著作

戦国秦漢簡牘の思想史的研究

  • 2022年1月
  • 草野友子
  • 汲古書院

*上博楚簡・北京大学蔵秦簡牘・北京大学蔵西漢竹書を対象に、「故事」「教訓書」の実態を明らかにする。

 本書は、1990年代以降に発見された中国新出土文献のうち「故事」「教訓書」類の古佚書を取り上げ、その成立と展開、思想史的意義を解明することを目的として執筆したものです。主な研究対象は、上海博物館所蔵の戦国時代の楚の竹簡(上博楚簡)および北京大学所蔵の秦代・漢代の竹簡(北大秦簡・漢簡)です。序論(全三章)、第一部「楚国故事の研究」(全六章)、第二部「故事類文献の研究」(全三章)、第三部「新出土文献から見る教訓書」(全二章)、「結語」という構成で、冒頭には専門用語一覧・凡例、末尾には初出一覧・中文目次・中文摘要・索引を附しています。学術雑誌等で既発表の論文については、本書収録にあたり、すべて加筆・修訂を行いました。
 一見、難しそうですが、本書で取りあげている故事・教訓書から様々な人物たちの思惑を読み取ることができ、現代においても非常に示唆に富むものとなっています。

草野 友子

関連著作